缶サット甲子園とは?
缶サット甲子園とは、高校生が自作した缶サット(空き缶サイズの模擬人工衛星)を打上げ、上空での放出・降下・着地の過程を通じて、技術力・創造力を競う競技会です。従来の競技会のように「定められた技能」を競うのではなく、生徒の皆さんが斬新でオリジナリティーのある缶サットを作り、「coolさ」を競います。
2020年で13回目を迎えるこの大会は、2008年開始以来、のべ参加数322チーム(2019年度大会終了現在)にのぼります。過去の大会はこちらをご覧ください。
本大会は、"「理数が楽しくなる教育」実行委員会"(以下「実行委員会」)の主催によるものです。但し、各地方大会については、実行委員会が承認した地方大会運営主体によって主催され、実行委員会は後援を行います。
【学校教員の皆様へ】初めて参加ご検討の学校の指導者の方はこちらの教員用ページもご覧ください一目で分かる!缶サット甲子園の魅力【動画】 | |
缶サット甲子園2010 「缶サット甲子園~その魅力に迫る」 |
缶サット甲子園ドキュメンタリー 「手に入れろ! 大空からのメッセージ」 |
2010年度の大会の様子を通じて「缶サット甲子園」の魅力に迫るプロモーションビデオです。大会の概要から、参加者の生の声まで、「缶サット甲子園」の全容が詰まっています。 | 和歌山県立桐蔭高等学校の科学部が「缶サット甲子園」に挑む様子を、3年間にわたって密着取材したものです。第27回NHK全国大学放送コンテスト TVドキュメンタリー部門優勝作品。 |
制作:和歌山大学クリエ映像制作プロジェクト |
開催の背景
国土が狭く資源にも乏しい日本は「科学技術創造立国」を掲げていますが、その基盤となる人材育成には大きな問題を抱えています。特に、科学への興味・関心が世界的にも低いこと、工学系志願者が減少を辿っていることなど、「理科離れ」が顕著だと言われています。
その一方で、"理科が楽しい""分かる"とした小中学生の割合は比較的高く、その理由として「自分で調べたり考えたり体験する授業」「観察や実験の後にまとめをする授業」の存在を挙げています。このことから、小中学校の段階では、実験等の体験的な学習が理科教育において重要であることが認められます。
しかし、残念なことに高校では大学受験対策が優先され、実験等の体験的な授業は敬遠される傾向が強く、理工系への関心を十分持てるような授業カリキュラムとはなっていないのが実情です。
このような日本の実情を憂慮し、「理科離れ」を食い止めることや理工系人材育成を進めることが重要な課題であると位置付けられ、大学・学会・地方自治体・一般企業等による各種の理科教室やものづくり教室等が全国で開催されるようになってきました。
ところが、そのほとんどが小中学生を対象としたものであり、将来の進路選択をする重要な時期にある高校生を対象としたプログラムは多くありません。
また、日本の学校教育は、知識の習得を主眼とする教育が中心で、学習した知識を活用する実践的な教育が不足しています。机上での知識で完結してしまい、その知識の効用についての実体験がほとんどないという点は、日本の学校教育の問題点であると言えるでしょう。
目的
以上の現状を踏まえ、「缶サット甲子園」は、将来の進路選択という大事な時期を迎えている高校生を対象として、
- 理工系の楽しさ、面白さ、魅力などを感じてもらい、広く科学や工学への興味と関心を高めること
- 座学で学んだ知識について、その働きと役割を自ら実感できる体験をすること
- 与えられた課題だけでなく、生徒自ら課題を発見できる能力の開発
- 理工系への進路選択を後押しする
などを目的としています。
方法
これらの目的を達成する方法として、“「理数が楽しくなる教育」実行委員会”は、「プロジェクト遂行型実践教育」を提唱し、そのための科学教育プログラムとして「缶サット甲子園」を開催しています。
これは単なる実験や工作ではなく、高度なプロジェクトを達成するためにはどうすればよいか、生徒自身が問題点を発見し、仲間と協力して問題解決に挑むことにより、計画力、問題発見・解決能力、コミュニケーション能力等のプロジェクト遂行力を育成するものです。また、理工系の楽しさ・おもしろさを実感することで、科学や工学への興味・関心を促します。
そして、プロジェクトを通して技術そのものだけでなく、マネジメント・チームワークを学び、未来を担っていける人材を育成します。
これを実現するための具体的なテーマとして、缶サット(空き缶サイズの模擬人工衛星)を製作し、その技術を互いに競い合う、それが「缶サット甲子園」です。
缶サット甲子園の全国大会および地方大会は、「缶サット甲子園開催規則」に従って実施されます。
ミッション
缶サットの打上げにはモデルロケットやバルーンを使用します。
ロケットやバルーンといった飛翔体に缶サットを搭載し、上空で放出させパラシュートと共に落下させます。本当に宇宙へ飛んで行くことはありませんが、センサやマイコンを搭載し、上空でデータを取得、無事に回収するといった一連のプロセスは宇宙開発の中で必要とされる最も基本的な技術の一つになります。
このミッションを達成するために行う試行錯誤の中で、電子工作技術やモノづくりの難しさ・楽しさなどを学びます。
ミッションの大まかなプロセスは、「ロケット(もしくはバルーン)の打上げ」→「缶サットの放出」→「搭載したカメラやセンサなどで独自のミッションを実行」→「機体の回収」となります。