缶サット甲子園2017 全国大会審査員長講評

日本大学理工学部 教授 宮崎康行



全国大会に出場した10チームは,地方大会の結果を踏まえて,全国大会までの短期間に,全 国大会用の缶サットをしっかり作りこんできていて,その対応力には驚かされました.技術的に も,缶サットに必須となる,マイコンや通信機などにハイスペックなものを使いこなしていたり, 高度な電子基板を作りこんでいた李,3Dプリンタを使って構体をつくっていたりと,そのレベル の高さに感心しました.また,打ち上げ実験の翌日の事後プレゼンテーションでは,得られた実 験データや事前実験のデータなどを用いてよく考察しており,全国大会に向けて十分な準備を してきたことが伺え,その真摯で誠実な態度・行動には,胸にグッとくるものがありました. 参加した皆さんは既に高いレベルにありますので,あとは,①ミッションの意義や価値について より深く突き詰めること,②少ない準備期間の中でも,事前の運用試験(打ち上げ準備から打ち 上げ後までを一通り想定した模擬実験)は何度もしっかり行うこと,③電子基板等の搭載機器 の安定な固定方法や固定精度,機構部の作りこみなど,構体・機構にもう少し注力すること, といったあたりに注意してもらえると,さらに一段,上のレベル(本物の宇宙を目指せるレベル)に いけるかと思います.特に①は大事かと思います.

 

いずれにしても,参加した皆さんには,高校生でこの高いレベルに達していることに自信をもっ て,これからの活動に活かしていってもらえればなと思いますし,将来,宇宙関係で一緒に仕事 ができればうれしいです.